『ベティ・ブルー』『カッコーの巣の上で』障碍者を勝手に殺したらアカンよ。

今、本当ならフランスで起こったトラック突入テロについて書きたかったのだが、まだ詳細がわからないので一旦保留。

フランスつながりで、

映画『ベティ・ブルー』。


映画『ベティ・ブルー/愛と激情の日々 デジタル・リマスター版』予告編

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主人公の男が、統合失調症(当時は精神分裂病)になった彼女と暮らし、症状が進行していくも愛し続ける。しかし、男は、病院に入院した彼女を枕で窒息死させてしまう。

男が彼女を救ったつもりのようなラストシーンには、腹が立つやら情けないやら。

フィクションとは言え、彼女が殺されなければならないのは納得出来ない。
仕事上、数多くの統合失調症の患者さんやその家族とは話をしてきたが、家族が患者を殺してしまった例は一件もなかった(少なくともわたしの周りでは)。本人も家族も、病に苦しみ、時には凄まじい諍いをしながら必死で生きていこうとする姿は見たが。
生きようとする障碍者を勝手に殺したらアカンよ。
傍目には廃人のように見えても、本人は生きようとしているのだから。

この映画、冒頭のセックスシーンが長い。約2分間ずっと続く。初めて観たのは20代前半だった。あまりに官能的でクラクラしてしばらく頭から離れなかった。
このシーンがあまりに衝撃的であり、統合失調症の患者を演ずる女優さんの演技が素晴らしかったので、さらにラストがもったいない。男は、病状が寛解し退院するのを待つべきだった。そして彼女に寄り添って共に生きるべきだった。そのほうが映画としても感動的と思うのだが。

 

カッコーの巣の上で』も『ベティ・ブルー』と同じ。ラストまでは面白いのだ。精神病院の影の部分をリアルに描いている。ジャック・ニコルソン演ずる詐病の服役囚が一番まともだったとするストーリーも理解できる。

しかしロボトミーされた服役囚が、殺されることで自由になるとの解釈は出来ない。だって生きようとしているのに。

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