自殺が日本の風土病である理由2。映画『二百三高地』と『防人の詩』

映画『二百三高地』日露戦争は勝利したのでは?

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 悲しい映画。とんでもない苦労の末、勝利したのに。

あの当時、1904年-1905年(明治37年-38年)の日本が、

世界の軍事大国であったロシアに勝利したことは、奇跡としか表現できない出来事でした。

それでも日本人が勝ち戦の映画を作ると、こんなに悲しい。

 

もし敗北していれば、日本列島の半分はロシア領になっていたでしょう。

そして、共産主義革命が起こりソビエト連邦が出現していれば、日本全土がソビエト連邦日本自治区になっていた筈です。

ロシア人が大勢移住していれば、現在のウクライナのような状態になり、内戦状態が続いているかもしれません。

 

戦争=悪ではありません。

日本が独立国家として今あるのも、日露戦争による勝利があってこそです。

それでも日本人は勝利に歓喜するより、悲壮美を描く方を好む。

とことん悲壮美を愛しているのでしょう。

 

主題歌である『防人の詩』は万葉集からインスピレーションを得て作られたようです。

本歌取りと言ってもいいでしょう。パクリではありません。

Wikipedia『防人の詩』より

歌詩は『万葉集』第16巻第3852番に基づいて作られている。

鯨魚取 海哉死為流 山哉死為流 死許曽 海者潮干而 山者枯為礼

鯨魚(いさな)取り 海や死にする 山や死にする 死ぬれこそ 海は潮干て 山は枯れすれ

大意:海は死にますか 山は死にますか。死にます。死ぬからこそ潮は引き、山は枯れるのです。

 『防人の詩』さだまさし  歌詞

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 司馬遼太郎は歴史を面白く描きすぎる

話はそれますが、『坂の上の雲』の中で司馬遼太郎が、乃木希典を徹底的に無能な軍人として描いているので、長い間そう信じ込んでいました。

何より司馬遼太郎は、小説家として上手すぎます。

まるで、その目で見てきたように歴史的事実を書くので、すっかり騙されてしまう。

批判的な目で読んでいるつもりでも、いつの間にか司馬遼太郎風の歴史が頭に入ってしまうのです。

 

どんな犠牲を払っても、旅順要塞を落城させねばならないことは自明の理でした。

旅順艦隊を追い出すこと以上に、要塞にこもる兵隊を放置する訳にはいかなかったのです。

もし、放置して乃木希典率いる第三軍が北上すれば、要塞から出たステッセル軍に背後を突かれ、奉天のクロパトキン軍と挟み撃ちにされるからです。

 

それにしても、映画の中で乃木希典を演じた仲代達矢には驚かされます。まるで、乃木希典の霊が乗り移ったかのようでした。